2021.11.16 Tue
第4回:基礎講座「8K動画のアップロード」
ローカル5Gの特長の一つである「高速アップロードの応用例」として、しばしば監視カメラ等の動画転送が挙げられます。エイビットではアストロデザイン株式会社様御協力の元、8K動画の実験を実施しました。今回の技術コラムでは、8K動画実験の様子を御紹介致します。
必要なデータレート
まず8K動画を転送するためのデータレートを算出したいと思います。
- 1画素の色表現
RGBそれぞれ色解像度が8ビットとすると、1画素を表現するために24ビットのデータが必要になります。
- 8Kの解像度
8Kの解像度は水平方向7,680ピクセル、垂直方向4,320ピクセルのため33,177,600ピクセルとなります。
- フレームレート
8K動画では一般的に一秒間に60フレーム(60fps)のフレームレートが使われています。
先程の解像度とフレーム数を掛け合わせることで1秒あたりのデータ量が計算できます。
24(bit)×33,177,600(pixel)×60(fps)=47,775,744,000bps≒48Gbps
となります。生データをそのまま転送するためには48Gbpsという高速大容量のデータを転送する必要があります。
しかし実際には、このような高速大容量のデータをそのまま転送することは一般的でなくコーデックを使用してデータを圧縮して転送します。最新動画圧縮規格のH.265を用いた場合には80Mbps程度になります。
アップロードのスループット
現在、5Gで主に使用されているフレームフォーマットでは、ダウンロードを優先しています。そのため、アップロードのスループットは数十Mbps程度となっています。これでは残念ながら、5Gで期待されている”高速大容量”とは言えません。80Mbpsの動画データを通すためには、100Mbpsで安定した通信が可能な環境が必要となります。
弊社では、ローカル5G製品のAU-510を用いてアップロードのスループットを重視したフレームフォーマットを実験的に採用しました。これにより、100Mbps超で安定して通信可能な環境を構築しています。
8K動画転送試験
まず、ローカル5G端末側に8K動画を再生するシステムを接続します。8K動画データをローカル5G基地局に送信します。そして、基地局に接続した動画再生機を介し8Kモニタへ出力。この環境を用いて、ローカル5Gシステムを介した8K動画伝送を実現できました。
- 既存フレームフォーマット
アップロードのスループットが数十Mbpsの既存フレームフォーマットを用いて8K動画転送の試験を実施したところ、8Kモニタには何も表示されませんでした。
- アップロード優先フォーマット
AU-510を用いた100Mbps超のローカル5G回線で8K動画転送の試験を実施したところ、8Kモニタに8Kの超高解像度の動画を再生することができました。
8Kという超高解像度を用いた産業用のソリューションも続々と登場しています。例えばスマートファクトリーにおける検品用カメラに8Kが使われ始めています。これにより、従来の解像度では認識できなかったような小さな傷をみつけることが可能となります。また、監視カメラと組み合わせることで、遠くの人の顔の表情を認識することができ、AIと組み合わせた新しいアプリケーションへの活用が期待されます。
弊社では、本社オフィスにて8Kデモシステムを常設しております。ご興味がございましたら、お気軽に弊社営業担当または
こちらからお問合せください。また、8Kソリューションを活用したコラボレーションなども承っております。ぜひ
お問い合わせください。